映画「暑い夏」とクリス&フランク

今夏訪れた北ドイツリューゲン島は本当に美しくて、来年がすでに待ち遠しい、というかもう待てないくらい。その気持ちはそろそろクリスマスになろうとしている今でも持続しています。

今年の夏はとびきり暑い なんて素敵な熱い夏

「熱い」のか「暑い」のか日本語に訳すと微妙だけれど、ひと夏の素敵な思い出というのもまた万国共通なんだと認識を新たにしました。夏はなんだかウキウキ、いろんな事を期待しちゃう季節なのです。


「Heisser Sommer/暑い夏」は2003年のそろそろ夏も終わるだろう頃に、ベルリン夏の風物詩オープンエアキノで鑑賞した1967年の東ドイツ映画です。Leipzig/ライプツィッヒの女子11人とkarl-Marx-Stadt/カールマルクスシュタット(現Chemnitz/ケムニッツ)の男子10人がバルト海沿いの北ドイツでひと夏を過ごすというあらすじなのだけれど、くっつくくっつかないあり、もめごとあり、けれども最後は淡く終わるひと夏の恋、、、というのを期待していました。あのすばらしい北ドイツの自然を織りまぜながら。

ところがところがこの映画たしかにそういうあらすじなのだけど、歌謡映画というのでしょうか、とにかく要所要所で歌をうたう。タモさんだったら絶対納得しないくらいに。羊を抱えてうたいまくる、蓑でできた笠を身にまとってやじろべいのように踊る、こんな場面がノンストップで続くのだからたまりません。しっとり終わるどころか会場を大爆笑の渦にしたこの映画。

オープンエア上映の醍醐味はなんといっても開放感。例えば新聞や情報誌に20時と開始時間が記載されてても、上映するのに程よい夜空を待ちます。それまでは酒盛りをしたりおしゃべりしたり。この感覚は日本でいうと花火鑑賞に近いかもしれません。木々の輪郭が陽が落ちゆく空の色と一体になるかならないかって頃になってようやくはじまります。

そしてオープンエアの開放感は、観客を一体化させる要素も持ち合わせていました。青春期をこの映画とともに過ごしたであろうおばさまの愛あるやじ飛ばしや大合唱につられて大勢の笑い声や拍手、歌舞伎のようなかけ声も入ります。この一体感はなに?かっこいー!

主演のクリス&フランクは若者に絶大な人気を誇っていた歌手で、当時はプライベートでも夫婦だった夢のカップル。水前寺清子を思わせるようなヘアスタイルのクリスは、一度見たら忘れられない個性的な顔。「どうして君の鼻は上向きなんだい?」なんて失礼な質問をする男子を軽くあしらっちゃう我らがクリス。パンチのある歌唱力と明朗活発な性格で映画の彼女を見てると元気がでてくる。しかもこの映画撮影当時すでにフランクの子供を宿していたのにもかかわらず細身だったからか誰にもバレなかったそう。

当初の淡い北ドイツへの想いはどこへやら。泣く程笑って、映画で登場した数々の歌を口ずさみつつ帰宅してしまうほど愉快な気持ちにさせてくれました。「パウル&パウラ」とはまた違った東ドイツを代表する映画のひとつで、フレンチポップのようなスマートさはないけど、なかなか出会えない東ドイツのポップ音楽の世界へも誘ってくれます。2003.11.18



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