ナタ−シャさん(仮名)のその後


ベルリンでは年に1度オープンデイとして市の文化財を一般公開するイベントがあり、通常立ち入り禁止とされている場所に堂々と足を踏み入れることができます。

1:表玄関にはたしかレリーフのクマがいたはず。
2:「おかえりなさいのクマ」で登場した旧市庁舎分館を手掛けた同一人物作の浴場。
3:ブルータス「THE EURO TRAVEL BOOK」にも登場していた。

ちょこちょこと集まった情報が今一般公開のチャンスを得て、胸が踊らないわけがありません。そんなわけで迷わず「公営浴場 Oderberger Strasse」に向いました。

ベルリンの浴場事情については「クマ之湯」でも述べましたが、実際に浴場見学をしたのは今回が初めて。表玄関にはやっぱりいたいた、ボッティチェルリのビーナス誕生を思わせる大きな貝の中にクマ。そして両脇には天使達。なんだかこのクマもてあそばれてる感じです。

いざ中へと進みまして、掲示板には「9/7 本日の湯加減 23度」と記されています。こういう遊び心がにくいです。右はお会計ブース、曲がらず直進すると浴場。浴槽のふぞろいなアクア色のタイルと180度の弧を描いた天井まで伸びるアイボリーの壁は、湯を張っていなくても当時の利用者の声や水のしぶきが浴場独特の効果音となって聞こえてきそう。

浴場を抜けて裏庭へ。さんざん「浴場」と説明しておきながら「プール」の感覚があった私は2つの煙突にびっくり。そこには日本の銭湯の風景があるではないですか。私は8歳位まで銭湯通い。薪を割って湯を沸かしていたおじさんの周りもこんな風に無造作に草が生えていた気がします。

2階へのアプローチ、階段手すりには波打つラインの間にはめ込まれた魚のモチーフ。浴場が一望できる2階には左右に異なる計4つのチャーミングなおとぎ話風の蛙のレリーフ。もう一度表玄関へ戻って改めて建物を見上げてみればクマの下には蛙が3匹。上には鮹、蟹、亀、竜の落とし子も!ここの装飾は何故か見逃せないと思わせるものばかりで他にもあるんじゃないかと探検気分。

銭湯にお世話になっていた小さい頃を思い出したりもして、懐かしい気分を味わいながら存分に楽しませてもらいました。2002.9.7



ちなみにブルータス「THE EURO TRAVEL BOOK」を持っている方、この日ナタ−シャさん(仮名)がどうなっているか知りたくはないですか?やはりというか残念ながら、この日はお休みで左脇でしぼんで休憩しておりました(笑)。



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展覧会「おとうさんとぼく」in ハンブルク

中学の頃から好きだったエーリヒオーザ−の展覧会を見にハンブルクへ足を運んだ。 思った以上に「おとうさんとぼく」の原画がナマで見れたことに感激した。 展示された原画の前でしばらく立ち止まり、クスッと笑ってから隣りへズレていく。そんな風景を何度も見た。

他にも風刺画家としての彼の作品を見ることができた。「おとうさんとぼく」としてのオーザ−しか知らなかった私にとって、それらはどれも大胆で、ペン先からインクと共に筆圧、意志までをも紙に染み込ませているといった感じ。時折紙にペン先がひっかかり、飛び散ったのであろう細かなインクのシミ跡は描いている時のカリカリというペンの音を想像させた。

また息子のクリスチアンを題材にしたデッサンには、風刺画とも「おとうさんとぼく」とも違う、もっともっと個人的なやわらかい雰囲気に包まれていて、親が子に向けるやさしい眼差しがあった。 原画の持つ力をこんなにも感じた展覧会は初めてかもしれない。好きな作家の作品ということもあるだろう。日帰りの慌ただしいハンブルク旅行だったが、気分はとても満たされた。

ドイツに来た際には、ぜひ書店に立ち寄って「おとうさんとぼく(VATER UND SOHN)」を手に取ってみてください。言葉いらずのコママンガはお土産にもぴったり。


「おとうさんとぼく」は、1934年〜37年当時ナチスから執筆停止処分を受けていた彼が、e.o.プラウエンという変名で週刊誌ベルリングラフに連載したコママンガです。2002.2



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合い言葉は、エーミール!!

ローラが街を駆け抜けたのが1998年。それよりもずっと前、60年も前に既に1人の男の子がたくさんの友といっしょにここベルリンを駆け抜けました。

ケストナーと言えば日本でもとても有名ですが、「エーミールと探偵たち」の舞台がここベルリンで、しかも今でも実在する物や街、通りがたくさん登場することを知っている人はどれくらいいるでしょう?1999年には彼の生誕100周年を記念して、映画に切手、子供たち自ら作った「エーミール新聞」まで発行されて、今なおこの物語そしてケストナーが皆に愛されていることを証明しています。(日本でも去年映画「点子ちゃんとアントン」が公開されましたね。)

そして去年11月12日から今月6日までミュージカルとしての「エーミールと探偵たち」が公演されました。ドイツの子供なら皆知っているお話だし、私も何回も読んだから筋立ては百も承知。にもかかわらず、会場へ着くや否や(公演10分前だったこともあって)グスタフが警笛を鳴らして私たちを座席へと促します。そう!お話はもうとっくにはじまっちゃっていたのです。バンドの演奏は、クレイジーキャッツを彷佛とさせるビッグバンド風でドキドキワクワクを感じるにはもってこいだったし、どろぼうグルントアイスの憎々しい演技に観客一斉「ブゥーーーーーーー!!!!」、エーミール達には惜しみない応援の拍手を送ります。いつの間にか観客の子供たちも探偵仲間になっていたようでした。

ちなみに本の表紙に描かれている丸い広告塔。あれもちゃんとこの街に存在してるんだからまったくすてきですよね。2002.1