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八重歯がチャーミングなベビーフェイスですが中身は相当ヘビー。でも、楽曲に重さを感じさせないのがこの人の才能かも。もちろん、トーマスのモダンジャズ風アレンジは素敵な出来栄え。
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- - - FDJ - - - 自由ドイツ青年団。幼児向け児童向けピオニ−ル団を卒業すると待っている東ドイツの青年向け政府組織。青いシャツがユニフォーム。映画「SONNENALLEE」の「あともうちょっとでキス事件」の場面でも皆が着用している。腕には朝日をモチーフにしたバナナラベルみたいなワッペンが付いている。
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Hartmut Koenig/ハルトムート ケーニヒ
FDJの青いシャツに身を包んだHartmut Koenig/ハルトムート ケーニヒは、Natshinski/ナチンスキー親子の楽曲(代表作映画「Heisser Sommer/暑い夏」など)に多く詞を提供したフォーク界の貴公子、Oktoberklub/オクト−バークラブを代表するシンガーソングライターです。コンポーザ−やシンガーだけじゃもの足りず、ジャーナリストにもなりたかった欲張り屋さんで、キューバだサイゴンだチリだと世界情勢に敏感な曲を作り自ら歌ったのはまさに水を得た魚。反戦歌であっても反政府じゃない音楽の道を歩んだ人です。
1968年、チェコスロバキアの「プラハの春」に対するソ連の軍事介入は、西側諸国はもちろん西欧共産党も非難する程の出来事でした。隣国東ドイツ政府では、「同じ主義の国として共に平和な未来を築いていこうではないか」という見解。だから与党(といってもほぼ一党独裁でしたけど)直轄のFDJももちろん同じ姿勢で、FDJ内で結成されたフォーク集団Oktoberklubのこの時の役割は非常に大きく、共に歌い合うことで若者のエネルギーを収集し、反政府活動が活発にならないよう彼らの活動を奨励。音楽は時に一体化させるにはもってこいのツールですよね、そこをうまく活かしたんじゃないかと私はにらんでます。
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歌声喫茶とか新宿西口広場での集会なんかとだぶる光景。世界各国で若者は歌っていたんですね。
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「君は今どこにいるのか、おしえてくれ」とくり返す「Sag mir, wo du stehst」は彼の代表作(1966年)。君はどちらの道を選ぶのか、抽象的な表現だけど一聴瞭然の内容。世界はなんだか騒がしく、多少なりとも自分のあり方や国のあり方に疑問を持ちざるをえなかった世代には充分魅力的に聴こえたはずで、政府が打ち出したもくろみにとても貢献した曲とも言えそうです。少年少女の合唱時にも選ばれたくらいだから知名度もすごかったんですね。
そんな歌の意味合いが180度変換した1989年。映画「Helden wie Wir」での使われ方が特に印象的です。どちらの道に進むのか、政府ではなく無数の民に委ねられ、自由を求める市民たちが国に投げかける格好での登場です。「遅れてくる者は罰せられる」と説いたゴルバチョフの言葉がだぶります。具体的な名称が詞に盛り込まれていないことで主観が逆転、面白いくらいみごとなどんでん返し。歌の意味合いが時代によって新たな解釈で生まれ変わることってあるのですね。
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1972年に発売された「Portraet in Liedern」では、延々にひっぱり最後の最後にこの歌が収録されています。ナチンスキー親子も曲を提供しているこのアルバムは、否応なしに政府の影がちらつき片寄っているのですが、ケーニヒの才能が発揮されているのも事実で、民族音楽を取り入れたりして楽曲にバリエーションを持たせています。それでもやっぱりトーマス(ナチンスキー息子)とのコンビが最強で、トーマスのバンドに提供した作詞の数々がケーニヒの仕事の中でもピカイチだったと私は確信しています。2004.7.4
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