イソジンを差し入れたくなるバンド Die Puhdys/プディーズ

今思うと、幼ないながらに随分際どい歌詞を口ずさんでいたと思う。皆さんにとって、一番古い記憶の歌謡曲はなんですか?私にとってのそれはキャンディーズ。健康的にキャピキャピフリフリしながらも、ときどきゾクっとするような大人の曲を歌っていた。

安井かずみ作詞の「危ない土曜日」は、なんで週末なのに危ないんだろうと思いながら「帰る道と反対に 恋の夜が回るの ぐるぐる危ない土曜日」と歌っていたし、吉田拓郎作曲の「2人の影は やがてひとつの 燃えるシルエット(やさしい悪魔)」や「人は誰でも一度だけ 全てを燃やす 夜が来る(アン・ドゥ・トロワ)」なんて、どんなことになっているのかさっぱりわからず、物心ついた頃に再び聴いて赤面したのを覚えている。


東ドイツのバンドPUHDYS/プディーズは、イソジンを差し入れたくなるようなガミガミした苦みばしった声でロックを奏でてくれます。ビジュアル系ではない彼らがヒットしてしまったのが70年代だったため、ファッションセンスがものすごいことに。このヘアスタイル、中に小鳥が住んでいるって、絶対。「流行とはいえ、やっぱり誰か注意してあげないと、、」と思いながら、このレコードを持ってレジへ向かった私の心はいかに。

それはね、DEFA映画の「パウルとパウラ」、そしてこの映画にオマージュを捧げている私が愛して止まない映画「SONNENALLEE」のサントラとして使われている曲が含まれていたからなの。ディスコでミヒャがミリアムにダンスを申し込む時に流れていた曲、ミリアムの為にありもしない日記を連日徹夜で書き上げたミヒャが、彼女のアパートへと駆け抜ける時に流れている曲「Geh zu ihr」。

主人公エドガーは、かまちもビックリ(?)380ボルト感電死。彼作のブルージーンズソングは、正真正銘のジーンズが手に入りにくかった東ドイツをもうまく表現している。

彼女のもとへ お前のドラゴンを奮い立たせろ
目を閉じて 向かうはただ一つ 
お前のドラゴンを奮い立たせて 彼女のもとへと向かうんだ

口ずさんでしまうのも無理はないくらい覚えやすいメロディに、ある日「意味わかる?」と言われてはて?と考え込みました、わたくし。しばらくして霧が晴れるように歌詞の意味が明確になった途端、心が瞬間風速80メートルくらいの勢いで後ろにタァーッッと引きましたね。なんなんなんだ!この歌は。洒落にならんではないかっ!こんな風貌で歌われたら。

詞を手掛けたのは映画「パウルとパウラ」の脚本も担当したウルリヒプレンツドルフ。彼はゲーテの作品をベースにした「若きWの新たな悩み(白水社刊)」という1970年代当時の(東独の)若者の世相を小説にもしています。この人、何かをメタファーに通したもの言いが本当にうまい。しかもすごく効果的でいやんなっちゃう。無邪気に意味深な歌を口ずさんでいた頃が、三十路にしてまた訪れるなんて、、。わたしゃ、ベルリンで何やってんだ。何はともあれ、幼年期に口ずさんだ歌詞がPUHDYS/プディーズじゃなくて本当によかった。ありがとう、キャンディーズ。2004.10.17



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